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日本溶媒抽出学会よりご挨拶を申し上げます。
浅野聡前会長(住友金属鉱山)を引き継いで、2025年1月から小職が日本溶媒抽出学会の第17代の会長を務めさせて頂くことになりました。 前編集委員長の仕事も継続しつつの会長職となりますが、2年間何卒よろしくお願い申し上げます。
日本溶媒抽出学会は、溶媒抽出とその関連技術に関する基礎から応用にわたる幅広い分野の技術者・研究者からなる会員で構成されており、 「溶媒抽出」を絆とする異なる分野・学会を横断したユニークな学会であります。
本会活動の一つの柱が、本学会の前身の研究会当時からの歴史がある溶媒抽出討論会です。 この2年間日本イオン交換学会との共催で「連合年会」が開催されており、2023年には日本イオン交換学会との共催で「連合年会2023」(第42回溶媒抽出討論会・第37回イオン交換研究発表会)が、鈴木達也実行委員長のもと、新潟県・長岡市にて10月19日(木)〜20日(金)に開催され、2024年には「連合年会2024」(第43回溶媒抽出討論会・第38回イオン交換研究発表会)が大橋朗実行委員長のもと、茨城県・水戸市にて10月30日(木)〜11月1日(金)に開催されました。さらに、2025年には「連合年会2025」(第44回溶媒抽出討論会・第39回イオン交換研究発表会)が高橋博実行委員長のもと、秋田県・秋田市にて10月29日(水)〜30日(木)に開催される予定です。日本イオン交換学会の平山直紀会長と連携し、しばらく「連合年会」を継続していく予定ですので、参加・発表などで盛り上げていただきますようお願いいたします。「連合年会2024」では優秀な学生発表に対して、協賛企業様より副賞のスポンサーをしていただいております。「連合年会2025」以降につきましても、参加企業者におかれましては、スポンサーをよろしくお願いいたします。
本会活動のもう一つの柱は、溶媒抽出に関する国際論文誌であるSolvent Extraction Research and Development,Japan(SERDJ)の発行です。2011年よりJ-Stageにも登録され、DOIナンバーも取得しています。北九州市立大学の西浜先生や前々編集委員長の塚原教授(大阪大学)のご尽力により、論文の投稿から審査、発行まで完全電子化され、本会のホームページから全てのバックナンバーを自由に閲覧できるようになり、さらに2024年7月から論文がCC-BY4.0に基づいて発行されるようになり、またこれまでは無料であった海外からの投稿についても採択に際しては課金されるようになりました。また、2024年11月からEditorial Manager社のシステムから論文が電子投稿されるようになりました。本誌のImpact Factorも2014年〜2023年の10年間平均で0.85となっておりますが、上記のような大きな変更がございますので、投稿数や掲載数に大きく影響する可能性がございます。どうぞ積極的なご投稿をよろしくお願いいたします。
金属資源以外でも医薬品など付加価値の高い製品や石油製品の精製にも溶媒抽出技術は多く活用されていますが、特に各種産業において金属資源は重要不可欠であり、その
確保のために溶媒抽出技術などの湿式製錬はキーテクノロジーとなります。カーボンニュートラルに伴い自動車産業でもガソリン車からハイブリッド自動車、さらに電気自
動車や燃料電池車への転換が急速に進んでおり、リチウム、ニッケル、コバルトなどのレアメタル、またモーターに必要な希土類、燃料電池や排ガス浄化に使用される白金
族元素の確保も不可欠です。また、太陽光パネルや液晶パネルなどは耐用年数を経過し、大規模に廃棄される時期を迎えているため、インジウムなどの回収が不可欠です。
貴金属類の価格の急騰や資源ナショナリズムの台頭による政治利用など、重要な金属資源の確保はますます厳しい状況に置かれており、国内で都市鉱山からの各種金属資源
の確保もますます重要になります。環境を保全し資源を有効活用するために資源から材料を分離し回収するリサイクルを推進するための技術として溶媒抽出は必要不可欠で
あり、未来社会を築くキーテクノロジーと言っても過言ではありません。
技術を成熟させるためにはさまざまな分野の技術との融合が不可欠です。日本溶媒抽出学会が、溶媒抽出のみならず、広く「物質分離」に関する化学および工学の分野ならびに産業界からより多くの皆様に参加頂けるよう、 会員各位のご理解とご協力を何卒よろしくお願い申しあげます。
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2025年1月1日
日本溶媒抽出学会会長
佐賀大学 大渡啓介 |
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